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2017年11月23日、24日 第4回本公演「潮時」@西条公会堂
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ミムラです。
すっかり間隔をあけてしまいました。

上演してしまった作品は、もう私たちの手を離れて、
見ていただいた方、それぞれのものになりました。
いろいろな方から感想を伺い、
この作品をしっかり見届けてくださっていることを感じ、
本当にありがたく、嬉しく思っております。

なので、いまさらお話するのは大変余計なのですが、
作品の背景にあるものや、作っていく中で調べたこと、考えたことを残しておこうと思います。
興味ある方は、下のリンクよりお進みください。





●名前のこと

「潮時」に登場する三人の登場人物。
広島で教職に就き、もうすぐ結婚する立花啓介。
大分で仕事をし、始発で広島にやってきた雪平あおい。
そして二人の高校時代の同級生、高見一樹。二人から「三日月」と呼ばれています。

お気づきの方もおられると思いますが、
この三人の名前のイメージは「雪月花」
古来よりある、季節ごとに愛でるべき三つのモチーフです。
三人に、それぞれの雪、月、花のイメージを含ませています。

そして、
今回資料部を設け、いろいろと調べ物をしてもらいました。
「雪月花」が最初に現れるのは白居易のこの詩なのだそうです。

  寄殷協律(殷協律に寄す)   白居易

  五歳優游同過日  五歳の優游(ゆうゆう)同(とも)に日を過ごし
  一朝消散似浮雲  一朝(いっちょう)消散(しょうさん)して浮雲(ふうん)に似たり
  琴詩酒友皆抛我  琴詩酒(きん、し、しゅ)の友 皆我を抛(なげう)ち
  雪月花時最憶君  雪月花の時最も君を憶(おも)う
  幾度聴鶏歌白日  幾度か鶏(けい)を聴き白日(はくじつ)を歌い
  亦嘗騎馬詠紅裙  亦(ま)た嘗て馬に騎り紅裙(こうくん)を詠ず
  呉娘暮雨蕭蕭曲  呉娘(ごじょう)の暮雨蕭蕭(ぼうしょうしょう)の曲
  自別江南更不聞  江南に別れてより更に聞かず


君というのは殷協律、古い友達のことを読んだ詩でした。
友達と一対一の関係ですが、
この三人にも、繋がるところがあると思い、
少しだけ台詞にも反映させた箇所があります。

季節の折に触れて思い出す友達のこと。
あんな歌を聴き、こんなことを歌ったなどと、様々な思い出がよみがえる。
ずっと、こうしていられると思ったのに、いつの間にか変わってしまう。
遠くなってしまう。

大人になっていくなかで、
友情はなくなってしまったわけではない。
けれども、昔のままではいられない。
一つの事実を知り、たどり着いた答えは、
高校時代想像していなかったものかもしれません。
それを、鳥取砂丘に行って帰ることで、ようやく受け入れられたのだと思います。

余談ですが、資料部の研究によると、
日本の文学作品に現れる「雪月花」では、雪月花がそれぞれ別の季節として読まれるというよりは、一つの季節に雪月花が揃っているように詠まれているのが特徴的なのだそうです。

雪の上に 照れる月夜に 梅の花
 折りて贈らむ はしき子もがも  /大伴家持『万葉集』


おもかげも 絶えにし跡も うつり香も
 月雪花に のこるころかな  /土御門院


いずれも「最憶君」につながります。
しかし、和歌の方で思い出す相手はかならず「恋人」。
「友」がよく出てくる漢詩と和歌のメンタリティの違いかも、と資料部の和俊君はコメントしてくれました。

いずれにせよ、「雪月花」が一度にそろうということは、ほとんどないですよね。
あったとしても、本当に奇跡的な日、
春先、梅や桜のつぼみがようやくほどけかけた月夜、寒の戻りがある、とか。
紅葉=椛(花)として、晩秋の月夜、寒波が一気に押し寄せるとか。

雪平、三日月、立花。三人がそろって、仲が良かった時期というのは、人生において奇跡のようなほんの一瞬かもしれません。たった一瞬だったけれど、本当に大切な記憶として、その後も三人の支えになっていたことは確かです。



●鳥取砂丘のこと

作者の私が行ったことあるから、という単純明快な理由で、彼らは鳥取砂丘を目指すことにしました。二年くらい前に、同級生5人で、広島から鳥取にドライブしたのです。
それこそ、離れ離れに住むみんなが、久しぶりに集まって遠出したのでした。
それが、えらく楽しく、そして快晴の鳥取砂丘が信じられないくらいきれいで。

群青メンバーで行こうと思っていた日は、台風。
その日のエピソードはこちらから。
それでもなんとかたどり着いたら、奇跡的に雨は上がって、砂丘に立ち入ることができました。
曇天の鳥取砂丘は、以前来た時と全く違う印象でした。
ただ、砂がある。海がある。風がある。
本当に、それだけでした。
それだけが十分すぎるくらいそろっている大きな空間でした。

やっぱり、ここを目指してよかった。
三人の関係性、潮との関連、色のない空。
砂漠のような、でも決して砂漠ではない風景。

ぜひ、訪れてみてほしいなぁと思います。

砂丘の写真をインターネットで調べているときに、
植田正治という写真家に出会いました。(ぜひ画像検索してください)
1913年鳥取県西伯郡境町(現境港市)に生まれ、2000年に亡くなるまで、山陰を中心に活動された写真家です。モノクロの写真に、小物がきりりと映え、ピリッとした写真。
なんて、かっこいい。
あっという間にファンになってしまいました。
私はかつてから傘のモチーフがすごく好きなのですが、砂丘で蝙蝠傘を差した写真もあり、
また、帽子を手にポーズした写真などは、ゴドーを思わせるようで。
僭越ながら、親近感を覚えていました。

鳥取砂丘からは離れますが、大山を望む伯耆町に美術館があります。
一人でこちらにも行きました。(一人では、遠かった…。)

植田正治写真美術館
〒689-4107 鳥取県西伯郡伯耆町須村353-3 TEL:0859-39-8000
http://www.japro.com/ueda/

ぜひ、訪れてください!と書こうと思ったのですが、
なんと12月から2月末まで閉館中とのこと!!
雪深そうなところでしたもんね…。
雪が解けて春になったら、皆様ぜひ。

三日月ははじめビニール傘を持たせるつもりだったのですが、
黒い蝙蝠傘にしたのは、植田先生の写真がヒントになりました。

こんな写真が撮れる場所です。
 
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